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知覚過敏が長引くときの見極め|たまプラーザで受ける検査・治療と生活習慣の見直し

たまプラーザ駅徒歩3分の「たまプラーザむろき歯科・矯正歯科」院長の室木です。 冷たい水を含むと歯がキーンとする、歯磨きのときにブラシが当たると鋭い痛みが走る。こうした「知覚過敏」の症状は、多くの方が一度は経験するものです。一過性のものとして自然に治まることもありますが、数週間から数ヶ月にわたって症状が長引く場合、そこには単なる「シミ」では済まされない、歯や歯茎の構造的な問題や、生活習慣に根ざした原因が潜んでいることがあります。 本稿では、知覚過敏がなぜ起こり、なぜ長引くのかというメカニズムから、歯科医院で行う精密な検査と段階的な治療法、そしてご自身で取り組める生活習慣の見直しまでを包括的に解説します。痛みは身体からのサインです。そのサインを正しく読み解き、適切な処置を行うことが、将来的な歯の喪失を防ぐことにつながります。医療広告ガイドラインに配慮し、治療効果や期間には個人差があることを前提に、専門的な視点で整理します。

 

 

1. 知覚過敏の正体と痛みのメカニズム:象牙質の露出とは

歯は本来、最も硬い「エナメル質」という鎧で覆われています。しかし、何らかの原因でエナメル質が削れたり、歯茎が下がったりすることで、その内側にある「象牙質(ぞうげしつ)」が露出してしまうことがあります。象牙質には「象牙細管」と呼ばれる無数の微細な管が神経(歯髄)に向かって通っており、冷たい水や風、物理的な刺激がこの管を通じて神経に伝わることで、鋭い痛みとして認識されます。これが知覚過敏(象牙質知覚過敏症)の基本的なメカニズムです。 健康な状態であれば、象牙細管は唾液中の成分やエナメル質によって守られていますが、口腔内環境の変化によって管が開口したままになると、刺激がダイレクトに神経へ伝達され続けます。初期段階では冷たいものだけで痛みを感じますが、進行すると温かいものや甘いもの、さらには歯ブラシの毛先が触れただけでも激痛を感じるようになり、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。

 

2. なぜ長引くのか?隠れた4つの原因(歯周病・摩耗・咬合・酸)

知覚過敏が一過性で終わらず長引く場合、原因が除去されていないか、複数の要因が絡み合っている可能性が高いです。 第一の原因は「歯周病による歯肉退縮」です。歯周病が進行すると歯を支える骨が溶け、それに伴い歯茎が下がります。これにより、本来エナメル質に守られていない「歯の根(歯根)」が露出し、知覚過敏を引き起こします。歯根の象牙質は非常に柔らかく、デリケートであるため、わずかな露出でも強い症状が出ることがあります。 第二の原因は「不適切なブラッシングによる摩耗」です。硬い歯ブラシを使ったり、力を入れて横磨きを繰り返したりすることで、歯の根元が削れてしまう「楔状(くさびじょう)欠損」が生じます。良かれと思って行っている歯磨きが、実は歯を削り、知覚過敏を悪化させているケースは非常に多く見受けられます。 第三の原因は「過度な咬合力(歯ぎしり・食いしばり)」です。前回の記事でも触れましたが、夜間の無意識な噛み締めや歯ぎしり(ブラキシズム)によって歯に過剰な力がかかると、歯の根元に応力が集中し、エナメル質が微細に崩壊する「アブフラクション」という現象が起きます。これにより象牙質が露出し、しみが止まらなくなります。 第四の原因は「酸蝕歯(さんしょくし)」です。酸性の強い飲食物の過剰摂取や胃酸の逆流などにより、化学的に歯が溶けてしまう状態です。エナメル質が薄くなり、全体的にしみる症状が広範囲に出るのが特徴です。

 

3. 歯科医院で行う検査と診断のプロセス:虫歯との鑑別

「歯がしみる」という症状は虫歯(う蝕)と非常に似ています。そのため、まずは虫歯なのか、知覚過敏なのか、あるいは歯の破折なのかを正確に見極める必要があります。 当院では、まず問診で痛みの種類(一瞬か、持続するか)、誘発因子(冷水、温水、甘味、接触)、発生時期を詳細に伺います。 次に、視診で歯の摩耗、欠損、亀裂、歯肉の状態を確認します。ここで楔状欠損やアブフラクションの有無をチェックします。 さらに、エアーシリンジを用いて患部に風を当てる検査や、冷水による刺激検査を行い、痛みの再現性を確認します。打診(歯を軽く叩く)や触診で歯の根の膜に炎症がないかも調べます。 そして、レントゲン撮影を行います。虫歯が深く進行していないか、歯根の先に病巣がないか、骨の吸収具合はどうかを画像で診断します。知覚過敏の場合、レントゲン上では明らかな異常が見られないことが多く、これが虫歯との大きな鑑別点となります。しかし、初期の虫歯や詰め物の下の虫歯はレントゲンでも判別しにくい場合があるため、拡大鏡などを用いて慎重に評価します。

 

4. 段階的な治療アプローチ:薬剤塗布から修復処置まで

診断がついた後は、症状の程度と原因に応じて段階的に治療を進めます。いきなり歯を削ったり神経を取ったりすることは、原則として行いません。 初期治療としては、知覚過敏抑制剤の塗布を行います。これは、露出した象牙細管の入り口を薬剤で塞いだり、神経の興奮を抑えたりすることで症状を緩和させる方法です。コーティング材を塗ることもあります。これらは即効性がある場合と、数回繰り返すことで徐々に効果が出る場合があります。 ご自宅では、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムなどが配合された知覚過敏用歯磨き粉の使用を推奨します。これらを継続使用することで、バリア機能が強化され、症状が落ち着くことが多々あります。 抑制剤で改善が見られない場合や、歯の根元が大きく削れている(楔状欠損)場合は、物理的に封鎖する治療を行います。コンポジットレジンというプラスチックの詰め物を充填し、露出した象牙質をカバーします。これにより刺激を遮断すると同時に、削れた歯の形態も回復させます。 歯ぎしりや食いしばりが主原因であると判断された場合は、咬合調整を行って過度な負担がかかっている部位の干渉を取り除いたり、就寝時にナイトガード(マウスピース)を装着していただいたりすることで、歯への破壊的な力をコントロールします。

 

5. 見落とされがちな「酸蝕歯」と「マイクロクラック」のリスク

知覚過敏の治療をしていてもなかなか治らない場合、「酸蝕歯」や「マイクロクラック(微小なヒビ)」が関与している可能性があります。 酸蝕歯は、炭酸飲料、柑橘類、酢、スポーツドリンクなどの酸性度が高い飲食物を頻繁に摂取する習慣がある方に多く見られます。また、逆流性食道炎の方もリスクが高いです。酸によって歯が脱灰(溶けること)し続ける限り、いくら薬を塗っても効果は一時的です。この場合、食生活の指導や内科的治療との連携が必要になります。 マイクロクラックは、歯の表面や内部に入った目に見えないほどの細かいヒビです。強い噛み合わせの力や、熱いものと冷たいものを交互に食べるなどの熱サイクルの疲労、加齢による歯の脆化などが原因で生じます。ヒビが象牙質や神経近くまで達していると、噛むたびにヒビが開閉して神経を刺激し、頑固な知覚過敏や痛みを引き起こします。マイクロクラックはレントゲンに写らないことも多く、診断が難しいため、マイクロスコープでの観察や染色液を用いた検査が有効です。ヒビが深い場合は、被せ物で歯全体を覆ってヒビの開きを止める治療が必要になることもあります。

 

6. 生活習慣の見直し:ブラッシング圧と食生活のコントロール

歯科医院での治療は重要ですが、それと同じくらい、ご自身での日々のケアと習慣の見直しが不可欠です。 最も重要なのはブラッシング圧のコントロールです。「ゴシゴシ」と音がするような磨き方は強すぎます。鉛筆を持つように歯ブラシを持ち、毛先が広がらない程度の優しい力(100g〜150g程度)で小刻みに動かすことが基本です。硬めの歯ブラシを使っている方は、「ふつう」か「やわらかめ」に変更することをお勧めします。研磨剤が多く含まれている歯磨き粉(ホワイトニング用など)は、露出した象牙質をさらに削ってしまうリスクがあるため、知覚過敏の症状がある間は避けたほうが無難です。 食生活においては、酸性の強いものをダラダラと食べたり飲んだりしないことが大切です。摂取した直後は口の中が酸性になり歯が柔らかくなっているため、直後に強い力で歯磨きをすると摩耗が進みやすくなります。水で口をゆすぐ、あるいは時間を置いてから磨くなどの対策が有効です。

 

7. よくある疑問と治療の限界:神経を取るべきか否か

「痛くて我慢できないから神経を取ってほしい」と希望される患者様がいらっしゃいますが、神経を取る(抜髄)はあくまで最終手段です。神経を失った歯は、栄養供給が断たれるため枯れ木のように脆くなり、将来的に割れたり折れたりするリスクが格段に上がります。歯の寿命を縮めることになるため、当院では可能な限り神経を残す方針をとっています。 しかし、あらゆる保存的な治療(薬剤塗布、詰め物、噛み合わせ調整など)を行っても激痛が治まらず、日常生活もままならない場合や、歯髄炎(神経の炎症)を併発してしまっている場合に限り、患者様と十分に相談した上で、やむを得ず神経を取る処置を選択することがあります。これは「痛みを取る」ことと「歯の寿命」を天秤にかけた上での苦渋の決断となります。

 

8. 当院の取り組みと受診の目安

たまプラーザむろき歯科・矯正歯科では、知覚過敏を単なる「しみる症状」として片付けるのではなく、その背景にある口腔内全体の問題(咬合、歯周病、生活習慣)を包括的に捉える診断を行っています。 マイクロスコープや歯科用CTなどの精密機器を活用し、肉眼では見えない微細な亀裂や適合の悪い詰め物を見逃しません。また、歯科衛生士によるブラッシング指導や生活習慣へのアドバイスにも力を入れており、再発防止に向けた二人三脚のサポートを提供しています。 冷たいものがしみて食事が楽しめない、歯磨きが苦痛で十分に磨けない、市販の知覚過敏用歯磨き粉を使っても改善しない、といった症状が2週間以上続く場合は、我慢せずに受診をご検討ください。放置すると、痛みを避けるために歯磨きがおろそかになり、そこから虫歯や歯周病が進行するという悪循環に陥る危険性があります。

 

9. まとめ

知覚過敏は、歯からのSOSサインです。その原因は、誤った歯磨き習慣、歯周病、噛み合わせの不調和、食生活など多岐にわたります。長引く症状を放置せず、適切な検査で「なぜしみるのか」という根本原因を突き止めることが、解決への近道です。 当院では、患者様一人ひとりのライフスタイルや口腔内環境に合わせたオーダーメイドの治療計画をご提案します。まずは薬剤塗布などの侵襲の少ない処置から始め、必要に応じて修復治療や咬合治療へとステップを進めていきます。 「しみる」という悩みから解放され、冷たい水も熱いコーヒーも美味しく楽しめる日常を取り戻しましょう。たまプラーザ駅徒歩3分、土曜日も診療しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

室木 貴行 | Muroki Takayuki

北海道大学歯学部を卒業後、恵愛歯科および笠原歯科に勤務。その後、笠原歯科人形町で院長として勤務し、1998年にむろき歯科医院を開業、さらに分院としてふぁみりあ歯科を開業

 

【略歴】

 

【所属団体】

 

たまプラーザ駅徒歩2分の歯医者・矯正歯科

たまプラーザむろき歯科・矯正歯科

住所:神奈川県横浜市青葉区新石川3-4-18

TEL:045-912-2633

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