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歯ぎしり・食いしばりが気になる方へ|たまプラーザで作るマウスピース(ナイトガード)の基礎知識

たまプラーザ駅徒歩3分の「たまプラーザむろき歯科・矯正歯科」院長の室木です。
朝起きると顎がだるい、歯がしみやすい、被せ物がよく欠ける。こうした背景に、夜間の歯ぎしり・食いしばり(総称してブラキシズム)が潜んでいることは珍しくありません。ブラキシズムは音が出るタイプだけでなく、音の出にくい強い食いしばり型も多く、本人自覚がないまま歯や顎、修復物に負担をかけ続けます。

本稿では、臨床の視点からブラキシズムの仕組みと影響、受診時の評価、ナイトガードの種類と作製手順、上手な使い方や注意点までを整理します。医療広告ガイドラインに配慮し、適応・費用・回数は個々で異なるため、詳細は診察時にご説明します。

 

目次

 

1. 歯ぎしり・食いしばりが歯と顎に与える影響

ブラキシズムは、睡眠中の無意識の筋活動として起こることが多く、歯・歯周組織・顎関節・咀嚼筋へ広く影響します。代表的な所見には、咬耗(歯のすり減り)、くさび状欠損、歯の微小亀裂、知覚過敏、補綴物(詰め物・被せ物)の破損、歯根破折、顎のだるさ、こめかみ痛、口が開けづらい感じなどが挙げられます。

問題は「力の強さ」だけでなく「力のかかり方」です。狭い接触点に集中して当たる高い咬合接触や、側方運動時の干渉は、同じ筋活動でもダメージを増幅させます。ナイトガードは、歯面の保護と同時に、接触面を広げて力を分散させる目的で用います。

 

2. 受診時の評価項目と「作る前に決めておくこと」

診査では、問診(起床時の症状、日中の食いしばり、生活・睡眠の状況)、歯面の咬耗や亀裂の有無、修復物の状態、歯の動揺、筋・関節の圧痛、開閉口軌跡、写真・レントゲン等を総合します。

作る前に確認しておくのは、装着目的(歯面保護が主か、顎関節・筋症状の緩和まで狙うか)、装着部位(上顎/下顎)、素材の硬さ、厚み、咬合接触の設計方針、通院可能な調整スケジュールです。既存の被せ物や矯正治療中かどうかなども設計に影響します。

 

3. ナイトガードの基本設計と種類(ハード/ソフト/ハードソフト)

ナイトガードは、歯列を覆う透明の装置です。装着感、強度、調整のしやすさには一長一短があります。

ハードタイプ
硬質の装置で、摩耗しにくく、咬合接触の調整が正確に行えます。強い咬合力や細かな咬合設計が必要な方、補綴物保護を重視するケースで選択肢になります。初期装着感はややしっかりめです。

ソフトタイプ
柔らかく装着感が穏やかで、初めての方でも受け入れやすいタイプです。一方で、強い食いしばりでは沈み込みが生じ、かえって筋活動を助長することもあるため、適応を見て選びます。

ハードソフト(外側ハード/内側ソフト)
装着感と強度のバランスを狙うタイプです。咬合調整の自由度はハード単層に劣る場合があり、目的に応じて検討します。

上顎用と下顎用
上顎用は安定しやすく、設計自由度が高い一方、嘔吐反射が強い方や職種・会話事情で下顎を選ぶこともあります。どちらが適切かは、歯列形態・症状・生活に合わせて判断します。

 

4. 作製の流れと装着後の調整

1回目:診査・説明・型取り(または口腔内スキャナーでデジタル印象)。装置の種類と設計を決めます。

2回目:装着・適合チェック・咬合調整。上下の接触を点ではなく面で受け、前歯・犬歯で側方運動のガイドが過度に強くならないよう確認します。

以後:数週間の慣らし期間後に再評価。違和感、締め付け、筋の痛み、起床時の状態を確認し、必要に応じて追加調整。補綴物の新製や矯正の進行があれば、その都度調整します。

 

5. 使い方の実際:装着時間、清掃、保管、交換目安

装着時間
基本は就寝中。日中も食いしばりが強く自覚される方は、仕事や家事の特定時間のみ短時間の併用を検討することがあります(会話や見た目の支障と天秤にかけて判断)。

清掃
外したら水で流し、やわらかい歯ブラシでやさしくブラッシングします。歯磨剤は微粒子で表面を傷つけやすいものがあるため、専用洗浄剤や中性洗剤を薄めたものが適切です。お湯や熱湯は変形の原因になるため避けます。保管は乾燥しすぎず、ケース内で清潔に。

交換目安
装置は消耗品です。歯ぎしりが強い方では摩耗・微小亀裂・変形が進み、咬合接触が設計からずれて効果が落ちます。定期メンテナンス時に状態を確認し、必要であれば作り直しを提案します。

副作用・注意
装置による歯列への過度な圧迫、粘膜の擦れ、唾液量・呼吸パターンの変化、起床時の軽いだるさが出ることがあります。通常は調整で改善しますが、違和感が続く場合は装着を中止して受診してください。装置は誤飲・誤嚥防止のため、破損や緩みがあれば使用を控えます。

 

6. 予防と併用アプローチ:噛み合わせ、修復物、生活習慣の見直し

ナイトガードはゴールではなく、負担軽減のためのスタートです。

噛み合わせ
高い接触点や側方干渉がある場合は、歯や被せ物の形態調整・再製作などで負担分散を図ることがあります。広範囲にすり減りが進んだ歯列は、長期的に補綴で高さを回復する計画が必要なケースもあります。

修復物の保護
セラミックやレジンの補綴が多い方、インプラントがある方では、破損やスクリュー緩み予防のためにも装置の役割は大きくなります。装置と補綴の設計はセットで考えます。

生活習慣
就寝前のカフェイン・アルコールの摂取、遅い時間のスマートフォン使用、うつ伏せ・横向き寝での顎位、ストレス環境などが筋活動に影響することがあります。すぐに全ては変えられませんが、できるところから一緒に整えていきます。鼻閉や口呼吸が強い方は、耳鼻科的評価で睡眠の質が底上げされることがあります。

 

7. よくある疑問とつまずきポイント

毎晩つけないと意味がないのか
症状やダメージが出やすいのは夜間です。基本は毎晩の装着が望ましいですが、旅行や体調で難しい日は無理をせず、可能な限り継続できる運用にします。

装置で歯ぎしりが強くなることはないか
個別差はありますが、ソフトタイプで沈み込みが大きいと筋活動が増す方がいます。装置の種類変更や咬合の調整で多くは改善します。

歯並びが変わることはあるか
長時間の局所的な圧迫があれば、わずかな歯の移動が起こり得ます。適合・咬合・辺縁形態を見直し、就寝前後の装着状態を確認します。違和感が続く場合はすぐにご連絡ください。

保険適用はあるか
適用の可否は症状や診断名、装置の種類などで異なります。詳細は診査後にご説明します。

 

8. 当院の取り組みと受診の目安

当院では、初回に現状のダメージと咬合接触を可視化し、装置の種類・厚み・装着顎を決めます。装着直後は数週間で再評価し、筋・関節の症状や起床時の状態、装置の摩耗を確認。補綴・矯正・インプラント治療中の方には、清掃性と長期安定を見据えた設計で進めます。

次のような場合は受診をご検討ください。起床時の顎のだるさ・頭痛、歯のしみ、歯の縦線(亀裂)の指摘、詰め物がよく外れる、家族に歯ぎしりを指摘された、ナイトガードを持っているが合わない・割れやすい。

 

9. まとめ

歯ぎしり・食いしばりは、気合いで止められるものではありません。大切なのは、現状のダメージと力のかかり方を可視化し、装置で歯面を守りながら、咬合・補綴・生活習慣を少しずつ整えることです。ナイトガードは、歯と顎を守る現実的な安全装置です。まずは評価と選択肢の整理だけでも構いません。たまプラーザ駅徒歩3分、土曜日も診療しています。WEB予約・LINE予約からご相談ください。

 

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

室木 貴行 | Muroki Takayuki

北海道大学歯学部を卒業後、恵愛歯科および笠原歯科に勤務。その後、笠原歯科人形町で院長として勤務し、1998年にむろき歯科医院を開業、さらに分院としてふぁみりあ歯科を開業

 

【略歴】

 

【所属団体】

 

たまプラーザ駅徒歩2分の歯医者・矯正歯科

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住所:神奈川県横浜市青葉区新石川3-4-18

TEL:045-912-2633

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