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子どもの虫歯予防は何から?|たまプラーザで受けられるシーラント・フッ素塗布と家庭ケア

たまプラーザ駅徒歩3分の「たまプラーザむろき歯科・矯正歯科」院長の室木です。

小児のむし歯は、ある日突然できるのではなく、生えたての歯が唾液・細菌・食習慣・清掃習慣の影響を受けながら進行しやすい時期に起こります。特に、生えて間もない奥歯の溝は深く、エナメル質も未成熟で、予防の一手(シーラント・フッ素塗布)が効くタイミングがあります。本稿では、年齢ごとのリスクの移り変わり、医院で行う予防の意味と適切な間隔、自宅でのケアの整え方を、私の診療の考え方に沿って整理します(医療広告ガイドラインに配慮し、個々の適応・回数・費用は診察後にご説明します)。

 

目次

 

1. 子どものむし歯が生まれやすい瞬間を知る

 

小児の歯は、生えてからしばらく再石灰化の力が弱い時期を通ります。とくにリスクが上がるのは次の場面です。
・第一大臼歯が顔を出し始める小学校低学年頃。溝が深く、毛先が届きづらい。
・生え替わり期。歯並びが一時的に不揃いになり磨き残しが出やすい。
・おやつやスポーツ時の飲料が増える時期。摂取回数の増加で歯が中性に戻る時間が減る。

むし歯は砂糖の量よりも摂取頻度に強く影響されます。間食や甘味飲料がだらだら続くと、口の中が酸性に傾く時間が長くなり、脱灰が再石灰化を上回ります。ここに清掃の届きにくい溝や歯間が重なると、むし歯は静かに進みます。

 

2. シーラントの考え方と適応

 

シーラントは、奥歯の深い溝に予防的な樹脂を流し込み、プラークの住処を物理的になくす処置です。
重要なのはタイミングです。第一大臼歯が噛める高さまで萌出し、まだ溝が深い時期に行うと効果的です。乳臼歯や第二大臼歯にも適応することがあります。処置そのものは削らない低侵襲ですが、汚れをよく落とし、乾燥を保ってから充填する基本を外すと辺縁から剥がれやすくなります。

一度入れたら終わりではありません。咬耗や剥離で一部が欠けることは珍しくなく、定期のチェックと補修が予防効果の維持に直結します。なお、シーラントで守れるのは溝の表面までで、歯と歯の間のむし歯予防は別途フロスが必要です。

 

3. フッ素塗布の狙いと通院間隔

 

フッ素塗布は、エナメル質の表層に酸に強い結晶を作りやすくし、初期むし歯の進行抑制と再石灰化を助けます。生えたての歯はフッ素の取り込み効率が高く、医院での塗布がとくに有効です。

通院間隔はリスク(むし歯経験、プラーク量、飲食習慣)で調整します。おおむね数か月単位での継続が現実的ですが、頻度は診査結果に基づき個別に決めます。医院での高濃度塗布と家庭でのフッ素配合歯磨剤の併用により、毎日フッ素が触れる環境をつくります。年齢に応じた歯磨剤の量やうがいの回数は、安全性と効果のバランスでご案内します。

 

4. 家庭ケアの核心

 

毎日磨いているのにむし歯になる場合、多くは毛先が届いていません。ポイントは次の三つです。
・当て方:毛先を歯と歯ぐきの境目、奥歯の溝に垂直からやや斜めで当て、小刻みに動かす。
・時間:急がず一本ずつ五〜十秒。仕上げ磨きは保護者が見える角度を作る。
・順番:毎回同じ順路で抜けを作らない。上の奥から前、反対側の奥、下も同様に、最後に噛み合わせ面。

仕上げ磨きは、乳臼歯が並ぶ時期から永久歯列が安定するまでが勝負です。お子さん本人の自立磨きを尊重しつつ、最後は大人のチェックで歯間部と奥の溝に毛先が入っているかを確認します。歯間はフロスが基本で、サイズや使い方は口の形に合わせて衛生士が実演します。

 

5. 食習慣と飲み物の考え方

 

おやつは量より回数が重要です。一日一〜二回の時間にまとめると、歯が中性に戻って修復する時間を確保できます。スポーツや習い事の合間に糖や酸を含む飲料を少しずつ飲み続けると、口内は長時間酸性に傾きます。喉を潤す目的なら水か無糖のお茶に切り替えましょう。就寝前のジュース、乳酸飲料、スポーツ飲料はハイリスク要因です。

乳幼児では、就寝時の哺乳瓶やストローマグでの糖飲料が上の前歯のむし歯につながります。寝入りばなに甘い飲み物が触れ続ける状況は避けるのが原則です。

 

6. 年齢別の通院プラン

 

・乳幼児(上下前歯が生え始めたら)
リスク評価と保護者向け仕上げ磨きレッスン。必要に応じてフッ素塗布。哺乳、おやつ、寝かしつけの工夫を一緒に整えます。

・年中〜小1(乳臼歯が並ぶ時期)
歯間むし歯の芽が出やすい年代。フロス習慣を定着させ、フッ素塗布とクリーニングを数か月単位で継続。

・小1〜小2(第一大臼歯の萌出)
シーラントの適期。溝の清掃性を高め、フッ素塗布とセットで予防を強化。

・小3〜小6(交換期〜第二大臼歯萌出)
歯並びの凹凸で磨き残しが出やすい時期。矯正装置や保定がある場合は清掃の当て方を見直し、スポーツ飲料や間食の頻度を管理。必要に応じて第二大臼歯にもシーラントを検討。

通院間隔は一律ではありません。出血やプラーク量、むし歯経験、飲食習慣で調整し、安定していれば三〜四か月、ハイリスクでは一〜二か月を目安に設定します。

 

7. よくある質問とつまずきやすいポイント

 

Q. シーラントを入れればもう安心ですか
A. 溝の予防には有効ですが、歯間むし歯には効きません。フロスと食習慣の管理をセットにして初めて効果が安定します。

Q. 歯磨剤はどれを選べばいいですか
A. 年齢や体重、飲み込む癖に合わせて使用量と使い方を調整します。診察時に具体的にご提案します。うがいで全てを流し切らない工夫が再石灰化を助けます。

Q. マウスウォッシュだけで代用できますか
A. 液体は機械的清掃の代わりにはなりません。毛先とフロスでバイオフィルムを壊すことが前提です。

つまずきやすいのは、当てる場所がずれている、間食の回数が増えている、仕上げ磨きが数日おきになっているの三点です。ここを見直すだけでも曲線は大きく変わります。

 

8. 当院の取り組み

 

担当衛生士制で家庭の状況(学校、習い事、食環境)まで伺い、現実的に続くプランを一緒に作ります。
シーラントは乾燥と視野を確保して丁寧に充填し、定期チェックで補修。フッ素塗布はリスクに応じて間隔を設計し、家庭の歯磨剤の使い方まで具体化。仕上げ磨きとフロスは実演で手つきを整え、道具と手順を個別最適化します。生活イベントに合わせて間食や飲料の回数管理のコツも提案します。土曜日も診療していますので、学期中でも通いやすいスケジュールをご相談ください。

 

9. まとめ/監修者/医院情報

 

小児のむし歯予防は、タイミングと回数管理がすべてです。生えたての歯にシーラントとフッ素塗布で守りを敷き、家では毛先の当て方と歯間ケア、そしておやつと飲料の回数コントロール。この三本柱をお子さんの性格と生活に合わせて微調整すると、予防は続けられる日常になります。迷ったら、評価と設計だけでも大丈夫です。たまプラーザで、削らない未来を一緒に育てましょう。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

室木 貴行 | Muroki Takayuki

北海道大学歯学部を卒業後、恵愛歯科および笠原歯科に勤務。その後、笠原歯科人形町で院長として勤務し、1998年にむろき歯科医院を開業、さらに分院としてふぁみりあ歯科を開業

 

【略歴】

 

【所属団体】

 

たまプラーザ駅徒歩2分の歯医者・矯正歯科

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住所:神奈川県横浜市青葉区新石川3-4-18

TEL:045-912-2633

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