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歯石取りはなぜ痛い?不快感を減らすための歯科医院でのアプローチとセルフケア

「歯医者さんでのクリーニングは、あのチクチクする痛みや、キーンとしみる感覚がどうも苦手で……」
診察室で、患者様からこのようなお声をいただくことは決して珍しくありません。お口の中をきれいにしてサッパリしたい気持ちはあるのに、痛みへの恐怖心から通院の足が遠のいてしまうのは、とてももったいないことですし、一人の人間としてそのお気持ちはよく分かります。

 

しかし、なぜ単なる「お掃除」であるはずの歯石取りで痛みを感じるのでしょうか。実は、その痛みにはお口の中の健康状態を知らせる重要なサインが隠されています。

今回は、歯石取りの際に痛みや不快感が生じるメカニズムと、それを最小限に抑えるために私たちが日々の診療で行っているアプローチ、そして、次回のクリーニングを少しでも快適に受けていただくためにご自宅でできるセルフケアについてお話しします。
「歯石取り=痛いもの」というイメージを少しでも和らげ、安心してお口のメンテナンスに通っていただくための手助けとなれば幸いです。

 

目次

 

1. なぜ歯石取りで「痛い」「しみる」と感じるのか?

歯石取り(スケーリング)は、歯の表面にこびりついた歯垢(プラーク)や、それが石灰化して硬くなった歯石を専用の器具を使って取り除く処置です。本来、歯石がついているのはエナメル質という非常に硬い組織の上であるため、健康な状態であれば、器具が触れても強い痛みを感じることはありません。

 

それにもかかわらず、「チクチク痛い」「水や風がしみる」と感じる場合、お口の中に何らかのトラブルが起きており、歯や歯ぐきが非常に敏感な状態になっていると考えられます。つまり、痛みは「歯石を取る行為そのもの」が原因というよりも、「歯石を取る前のベースとなるお口の環境」に起因することが多いのです。

 

2. 痛みを引き起こす3つの主な原因

では、具体的にどのようなお口の環境が痛みを引き起こすのでしょうか。主な原因を3つに分けて解説します。

歯ぐきの炎症(歯肉炎・歯周病)

最も多い原因が、歯ぐきの炎症です。歯石の表面はザラザラしており、そこには無数の細菌が棲みついています。この細菌が出す毒素によって、歯ぐきは赤く腫れ上がり、うっ血した状態になります。
炎症を起こしている歯ぐきは、ほんの少し器具が触れただけでも痛みを感じやすく、出血もしやすくなっています。擦り傷ができて赤く腫れている皮膚に触れると痛いのと同じ原理です。

歯の根元の露出による「知覚過敏」

歯周病の進行や、強すぎるブラッシング、歯ぎしりなどによって歯ぐきが下がると、本来は歯ぐきの中に隠れている「歯の根元(象牙質)」が露出してしまいます。
象牙質には神経につながる細い管が無数に通っているため、エナメル質のような防御力がありません。そのため、歯石を取る際の器具の振動や、洗い流すための冷たいお水、乾燥させるための風の刺激がダイレクトに神経に伝わり、「キーン」という鋭い知覚過敏の症状を引き起こします。

歯石が硬く強固にこびりついている

長期間放置された歯石は、時間が経つほどに石灰化が進み、歯と一体化するようにガチガチに硬くなります。特に、歯ぐきの中(歯周ポケット内)に付着した黒っぽい歯石は非常に強固です。
このような硬い歯石を取り除くためには、どうしても処置に時間がかかり、器具による物理的な力や超音波の振動を強くしなければならない場面が出てきます。その結果として、不快感や痛みを伴いやすくなってしまうのです。

 

3. 痛みを和らげるための当院のアプローチ

「痛いのは嫌だ」という患者様のお気持ちに寄り添うため、当院ではクリーニング中の不快感を最小限に抑えるよう、さまざまな工夫を行っています。

器具の使い分けとパワーの調整

歯石を取る際には、主に「超音波スケーラー」という微細な振動とお水で汚れを弾き飛ばす機械と、「ハンドスケーラー」という手用の器具を使用します。
知覚過敏が強い方には、超音波スケーラーの振動の出力を弱めたり、お水の温度をぬるめに調整したりすることで刺激を和らげます。また、超音波の振動音が苦手な方や、細かい部分の処置には、歯科衛生士がハンドスケーラーを用いて手作業で丁寧に汚れを取り除いていきます。患者様のお口の状態に合わせて、これらを柔軟に使い分けています。

表面麻酔などの活用とこまめな声かけ

歯ぐきの炎症が強く、どうしても痛みが我慢できない場合は、決して無理をしていただくことはありません。ご希望に応じて、歯ぐきに塗るタイプの「表面麻酔」を使用し、感覚を麻痺させてから処置を行うことも可能です。
また、治療中は「痛くないですか?」「お水がしみますか?」とこまめにお声がけをし、表情や仕草からわずかなサインも見逃さないよう努めています。処置の途中でも、辛い時はいつでも手を挙げてお知らせいただける環境を整えています。

 

4. 歯石取りを快適にするためのセルフケア

次回のクリーニングを少しでも楽に受けていただくためには、実はご自宅でのセルフケアが非常に大きな役割を果たします。

炎症を抑えるための優しいブラッシング

歯石取りが痛い最大の原因は「歯ぐきの炎症」です。つまり、日頃から丁寧にプラークを落とし、歯ぐきを引き締めておけば、クリーニング中の痛みは大幅に軽減されます。
「ゴシゴシ」と力任せに磨くのではなく、柔らかめ〜ふつうの硬さの歯ブラシを使い、鉛筆を持つ程度の優しい力で、歯と歯ぐきの境目をマッサージするように細かく磨いてみてください。炎症が治まり、歯ぐきが健康なピンク色になれば、処置中の出血や痛みは驚くほど少なくなります。

歯石を溜めないためのフロス習慣

プラークが歯石に変わるまでには数日かかります。歯ブラシだけでは落としきれない歯と歯の間の汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシを使って毎日取り除くことが大切です。
硬く強固な歯石になる前に汚れをリセットする習慣をつければ、歯科医院での処置時間も短くなり、結果として不快感も軽減されます。

 

5. まとめ|痛みを我慢せず、リラックスできるメンテナンスを

歯石取りの痛みは、決して「我慢しなければならないもの」ではありません。痛みの裏には、歯ぐきの炎症や知覚過敏といったお口のSOSが隠れており、それを紐解いて適切なケアを行うことが、私たちの重要な役割です。

 

「痛みが苦手」ということを、恥ずかしがらずにどうぞありのままにお伝えください。私たちは、患者様一人ひとりのペースに合わせて、負担の少ないアプローチをご提案いたします。定期的に通うことで、歯石が硬くなる前に除去でき、歯ぐきの状態も良くなるため、クリーニングは回数を重ねるごとに快適になっていくものです。

 

たまプラーザで、痛みに配慮した歯石取りやクリーニングをご希望の方は、ぜひ「たまプラーザむろき歯科・矯正歯科」へお任せください。
エステや美容院に通うように、お口の中がサッパリして心地よいと感じていただけるメンテナンスを目指し、スタッフ一同、優しく丁寧に対応させていただきます。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者情報

たまプラーザむろき歯科・矯正歯科 理事長 室木 貴行

理事長

室木 貴行 | Muroki Takayuki

北海道大学歯学部を卒業後、恵愛歯科および笠原歯科に勤務。その後、笠原歯科人形町で院長として勤務し、1998年にむろき歯科医院を開業、さらに分院としてふぁみりあ歯科を開業。

【所属団体】

たまプラーザむろき歯科・矯正歯科

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