医院ブログ

歯ぐきから血が出る・口臭が気になる方へ|たまプラーザで行う歯周病ケアの基本と通院プラン

たまプラーザ駅徒歩3分の「たまプラーザむろき歯科・矯正歯科」院長の室木です。
歯みがきのたびに血がにじむ、マスクの中で自分の息が気になる——診療室では毎日のように伺うお悩みです。結論から言えば、出血と口臭の多くは歯周病(歯ぐきの炎症と歯を支える骨の病気)に関連します。早い段階で仕組みを整えれば、大掛かりな治療を避けて状態を安定させることが十分に可能です。本稿では、原因のしくみ、受診時の検査と治療の流れ、自宅ケアの勘どころ、そして当院でご提案する通院プランを、臨床の視点でわかりやすく解説します(医療広告ガイドラインに配慮し、個々の適応・費用は診察後にご説明します)。

 

目次

 

1. 出血と口臭の正体——何が起きているのか

 

歯ぐきからの出血は、歯と歯ぐきの境目(歯肉縁)に炎症があるサインです。ここに細菌のすみかであるプラーク(ねばつく汚れ)が長く停滞すると、歯ぐきが腫れ、触れただけでも出血します。やがてプラークが石灰化して歯石になると、表面がざらついてさらに汚れが溜まりやすい環境に。炎症が長引くと、歯を支える骨がじわじわと溶ける段階(歯周炎)へ進みます。
口臭の主因の多くは、炎症部位や舌表面で生じる揮発性硫黄化合物です。出血=口臭の悪化ではありませんが、両者が同時に改善するケースは臨床的に多く、炎症源の除去(機械的清掃)と自宅ケアの是正が土台になります。

 

2. 受診の見きわめ——“今すぐ診てほしい”サイン

 

しばらく様子を見てもよい場面と、早めの受診が望ましい場面があります。
次のような状態は、早期の診査が有利です。出血が続く、歯ぐきが痛い・腫れている、歯が浮いた感じで噛みにくい、歯の動揺に気づいた、朝の口臭が強く日中も続く、口内の粘つきが取れない、金属や被せ物の周りだけ赤く腫れる。発熱や頬の腫れ、飲み込みづらさを伴う場合は、当日受診の目安です。

 

3. 初診〜検査の流れ——炎症の位置と深さを可視化する

 

診断の質が、その後の治療の質を決めます。まずは問診で症状の期間やきっかけ、既往歴・服薬・喫煙・睡眠の質・口呼吸の有無などを整理します。視診では歯ぐきの色・輪郭・腫脹、出血の有無を確認し、プロービング(歯周ポケットの深さ測定)で炎症の深さを数値化します。出血点の分布は、どの部位から始めるか・どこを重点的に清掃するかの道しるべです。
レントゲンは骨の吸収状況や歯石の付着、根の形態を把握するために用います。必要に応じて噛み合わせやブラキシズム(食いしばり・歯ぎしり)も評価し、機械的刺激が炎症を助長していないかを確認します。

 

4. 初期治療の実際——プラークコントロールと歯石除去

 

歯周病治療の核心は、バイオフィルム(プラーク)を物理的に壊し、付着しにくい環境を維持することです。
医院では、歯面清掃で付着物を除去し、歯肉縁上・縁下の歯石を丁寧に取り除く(スケーリング/ルートプレーニング)ことから着手します。出血が強い部位は視野確保が難しく、複数回に分けた方が結果が良いことも少なくありません。処置は可能な限り痛みに配慮し、必要に応じて表面麻酔や浸潤麻酔を用います。
初期治療と同時に、自宅ケアのフォームを整えます。清掃は“何を使うか”以上に“当て方・動かし方・当てる時間”が結果を左右します。ここは担当衛生士が実演し、患者さんの手つきを確認しながら微調整します。

 

5. 再評価と追加治療——深いポケットへのアプローチ

 

初期治療の後、4〜6週間ほどで再評価を行います。出血の減少、腫れの軽快、ポケットの改善が得られていれば、維持管理(メインテナンス)へ移行します。
一部に深いポケットが残る場合は、原因(根の形態、付着した縁下歯石、咬合の過負荷、清掃困難な形態)を洗い直し、器具やアプローチを変えて追加の機械的清掃を行います。骨の形態や病変の性状によっては、外科的アプローチが適するケースもありますが、適応は個別に評価します。

 

6. 家でできること——道具選びと“当て方・動かし方・当てる時間”

 

歯ブラシは毛先の当てやすさで選びます。硬すぎると歯ぐきを傷め、柔らかすぎると汚れが落ちません。重要なのは、毛先を歯と歯ぐきの境目に45度で当て、小刻みに動かしてから面をなでる流れです。
歯と歯の間は、フロスまたは歯間ブラシが必須です。どちらが良いかは隙間の形と出血の有無で決めます。道具は“痛くないサイズ”ではなく“少し抵抗があるサイズ”が基本です。舌の汚れが厚い方はやさしい舌清掃も有効ですが、こすりすぎは逆効果です。
食事と間食の回数、就寝前の飲料(とくに糖や酸を含むもの)、口呼吸の癖、就寝時のいびきは、炎症の背景にあります。水分をこまめに取り、就寝前後は水か無糖のお茶に。口が乾きやすい方は、唾液腺マッサージや保湿ジェルも一案です。鼻詰まりが強い方は、耳鼻科的評価が清掃の効果を底上げします。

 

7. 通院プランの考え方——リスクに合わせた間隔設計

 

通院間隔は“皆同じ”ではありません。
初期治療期は、出血や歯石の量に合わせて1〜2週おきに数回。再評価で落ち着いた後は、メインテナンスへ移行します。目安は3か月ですが、喫煙・糖尿病・強い口呼吸・矯正治療中・インプラント周囲炎の既往などリスクが高い方は1〜2か月、安定して清掃できている方は4か月程度に延ばすこともあります。
メインテナンスでは、前回からの変化を写真・数値で確認し、付着の除去とフォームの微調整、必要があれば噛み合わせの点検も行います。ここで“戻り始め”を捉えられるかが、口臭と出血の再燃を防ぐ鍵です。

 

8. よくある誤解とつまずきポイント

 

「出血するから触らないほうがいい」は誤解です。炎症があるから出血し、適切に当てれば出血は減るのが原則です。
「マウスウォッシュだけで治したい」も現実的ではありません。薬液は清掃の補助であって、機械的にバイオフィルムを壊す代わりにはならないからです。
清掃が“続かない”理由の多くは、道具が合っていない・当て方がズレている・時間が長すぎて疲れるのいずれかです。ここは練習で改善できます。遠慮なく相談してください。

 

9. 当院の取り組み——痛みを抑え、結果を“見える化”する

 

当院では、担当衛生士制でフォームの定着を支援しつつ、処置は可能な限り痛みに配慮して行います。
初診・再評価ごとにプロービングや出血の分布、写真を記録し、前回との違いを同じ画面で共有します。深い部位は回数を分け、視野と触知を確保して丁寧に進めます。矯正や補綴、インプラントが関わるケースは、清掃性を優先した設計・咬合の見直しとセットで提案します。土曜日も診療していますので、平日が難しい方もご相談ください。

 

まとめ

 

出血と口臭は、結果ではなくサインです。サインを見逃さず、歯ぐきのラインに清掃を届かせ、医院で付着物を確実に取り除く。再評価で“戻りやすい場所”を特定し、通院間隔と道具を体質に合わせて設計する。地味な手順の積み重ねが、息のにおいと歯ぐきの色つやを変えていきます。迷ったら、評価と選択肢の整理だけでも構いません。たまプラーザで長く安定する歯周ケアをご一緒に進めましょう。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

室木 貴行 | Muroki Takayuki

北海道大学歯学部を卒業後、恵愛歯科および笠原歯科に勤務。その後、笠原歯科人形町で院長として勤務し、1998年にむろき歯科医院を開業、さらに分院としてふぁみりあ歯科を開業

 

【略歴】

 

【所属団体】

 

たまプラーザ駅徒歩2分の歯医者・矯正歯科

たまプラーザむろき歯科・矯正歯科

住所:神奈川県横浜市青葉区新石川3-4-18

TEL:045-912-2633

たまプラーザむろき歯科・矯正歯科

TAGタグ