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たまプラーザで「急な歯の痛み・詰め物が取れた」時の受診ガイド|応急処置と来院までの流れ

たまプラーザ駅徒歩3分の「たまプラーザむろき歯科・矯正歯科」院長の室木です。
食事中に「カチッ」と違和感が走り、詰め物が外れてしまった。夜になって突然ズキズキと痛み出した——診療室では毎日のように相談を受ける場面です。大切なのは、焦って自己流の処置をせず、悪化させないための正しい一手を踏むこと。本稿では、歯科医の立場から来院までにできる応急処置、受診の目安、来院後の流れを順序立てて解説します(医療広告ガイドラインに配慮し、具体的な治療は診察後に個別にご案内します)。

 

目次

 

1. まず落ち着いて確認すること

 

最初にやるべきは、原因の手がかりを拾うことです。いつから痛いのか、噛むと痛いのか、冷たいもの・甘いものでしみるのか、何もしなくてもズキズキするのか。詰め物が外れたなら、どの歯から外れたのか、欠片は回収できているか、噛むと歯が沈むように感じないか。こうした情報は、診断の近道になります。口の中を軽くゆすいで清潔にし、外れた物は洗って乾かし、小さな容器に入れて保管してください。

 

2. 痛みが強い場合にできること/避けたいこと

 

痛みの正体は、むし歯の進行、神経の炎症、噛み合わせの過負荷、歯周の炎症などさまざまです。共通して重要なのは、刺激を減らすこと。患側では噛まない、熱い飲食物を避ける、強いうがいを繰り返さない、といった基本で多くの悪化を防げます。市販の鎮痛薬は一時的に役立ちますが、使用の可否や飲み合わせは体質・既往歴・服用中の薬で変わるため、説明書に従い、長引く場合は受診が前提です。歯や歯ぐきに湿布薬・精油・未承認の薬剤を塗ることは避けてください。発熱や顔の腫れを伴う場合、温めると痛みが増すことがあるため、温罨法は避けるのが無難です。

 

3. 詰め物・被せ物が外れた時の扱い方

 

外れた補綴物(詰め物・被せ物)は、状態の再評価に使える大切な情報です。まずは飲み込まないよう回収し、水洗いして乾燥させ、清潔な袋やケースに入れて持参してください。
やってはいけないことは二つ。ひとつは、市販の瞬間接着剤などで自分で接着し直すこと。歯や補綴物を化学的に傷め、本来は再装着できるものを不可能にしてしまうことがあります。もうひとつは、市販の仮封材で穴をふさぎ続けること。短時間の保護には有効でも、内部のむし歯や段差の評価を妨げ、痛みや腫れを悪化させる場合があります。診断前の“長期の自己処置”は避けるのが原則です。

 

4. 歯が欠けた・ヒビが入った気がする時

 

硬いものを噛んだ後にしみやすくなった、噛み合わせる瞬間に鋭い痛みが走る——歯の亀裂(クラック)が疑われます。肉眼で見えない微小亀裂でも症状は出ますので、無理に同じ場所で噛み続けないでください。歯冠の一部が大きく欠けた場合も、破片が残っていれば持参を。欠けの形が合えば修復の参考になります。

 

5. 腫れ・出血・発熱がある時の受診目安

 

次のいずれかに当てはまる場合は、当日の受診をご検討ください。

  • 何もしなくても強い痛みが続く/夜間に眠れない
  • 顔が腫れてきた、口が開きにくい、飲み込みづらい
  • 歯ぐきから膿が出る、発熱を伴う
  • 外傷で歯が揺れる、抜けかけている、完全に脱落した
  • 抜歯後の出血が止まりにくい(ガーゼ圧迫で30分以上持続)

いずれも悪化の速度が速いことがあるため、我慢せずご相談ください。

 

6. 来院までの流れ(当院の場合)

 

当院では、急性症状の方に当日枠をご用意しています。WEB予約が埋まっていても、お電話で状況を伺い、可能な限り枠を調整します。
来院前に、外れた詰め物・現在服用中の薬・アレルギー情報・既往歴を整理しておいていただくと、安全で迅速に進められます。妊娠中・授乳中の方は受付でお申し出ください。撮影や薬の選択を配慮します。

 

7. 来院後の診査と応急処置の実際

 

まず問診で痛みの性質・誘因・経過を把握し、視診・触診、必要に応じてレントゲンや歯科用CTで内部の状態や根尖・上顎洞・神経管との位置関係を確認します。
詰め物が外れたケースでは、再装着と作り直しの判断を行います。段差や二次う蝕が軽度で、適合が保てる場合は再装着が可能です。むし歯の進行や歯質の欠損が大きい場合は、作り直しが合理的です。痛みが強い場合は、神経の炎症や嚢胞の有無を評価し、必要に応じて咬合の一時調整、間隙の仮封、根管への圧を下げる処置など、その日の痛みを和らげる応急処置を優先します。
腫れや発熱を伴う歯周由来の炎症では、排膿・洗浄・消炎処置を行い、全身状態や既往歴を踏まえた上で薬の要否を判断します。いずれも原因を特定し、当面の痛みを抑え、再発を避ける設計に繋げることがゴールです。

 

8. よくある疑問への回答

 

Q. 痛み止めは飲んでよいですか?
目安としては問題ありませんが、胃腸障害・腎機能・妊娠授乳・他薬との相互作用で可否が分かれます。説明書を守り、長引く場合は受診が前提です。

Q. 冷やすと楽になりますか?
顔の腫れや拍動痛が強い場合、頬の外側からやさしく冷却すると一時的に楽になることがあります。温めるのは避けるのが無難です。

Q. 市販の仮封材を使ってから受診でもいい?
短時間の保護には役立つことがありますが、診断や再装着の妨げになる場合があるため、可能であれば使用前に受診してください。

Q. 外れた被せ物は捨ててしまいました。
作り直しが必要になる可能性が高まります。捨てずに保管が原則です。

 

9. 当院の体制:その場しのぎにしない応急処置

 

当院は、応急処置で痛みを抑えることと同時に、原因の可視化と再発予防までをセットで考えます。撮影や診査は必要最小限で的確に行い、ラバーダム等のアイソレーションを整えたうえで仮封・再装着・根管の減圧などその日の最適解を選びます。
詰め物・被せ物は清掃性と強度を両立できる形態で設計し、噛み合わせの微調整を行ったうえで、メンテナンス前提の計画に接続します。むし歯・歯周・咬合・生活習慣の要因を担当衛生士と分担して整え、「同じトラブルを繰り返さない」ための運用にします。土曜日も診療していますので、平日が難しい方もご相談ください。

 

まとめ

 

突然の痛みや補綴物の脱離は、つい“手早い自己流”に走りがちです。しかし、原因を見極め、悪化させない一手を選ぶことが、最短距離になります。外れた物は保管し、強い自己処置は避け、当日の受診が望ましいサインを見逃さない。受診後は「痛みが取れた」で終わらせず、原因の解決と再発予防までを視野に入れて計画を整える——これが後悔しない対処法です。迷ったら、相談だけでも構いません。現状の評価と選択肢の整理からご一緒します。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

室木 貴行 | Muroki Takayuki

北海道大学歯学部を卒業後、恵愛歯科および笠原歯科に勤務。その後、笠原歯科人形町で院長として勤務し、1998年にむろき歯科医院を開業、さらに分院としてふぁみりあ歯科を開業

 

【略歴】

 

【所属団体】

 

たまプラーザ駅徒歩2分の歯医者・矯正歯科

たまプラーザむろき歯科・矯正歯科

住所:神奈川県横浜市青葉区新石川3-4-18

TEL:045-912-2633

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